タイのペートンターン・シナワット首相は15日に開かれた2026年度予算の政策指針会議で、隣国の指導者になりすました詐欺師から14日、首相の携帯電話に着信があり、寄附金を求められたと明かした。指導者の声は人工知能(AI)で生成されたもので、よく似ていたという。
タイラットなどの報道によると、ペートンターン首相によると、ASEANの指導者を語る人物からチャットアプリを通じて音声データを受け取った。国際問題で協力したい趣旨のメッセージで、ペートンターン首相はテキストメッセージで返信。指導者を語る人物からは、「後ほど連絡する」と返信があったという。
その後、ペートンターン首相の携帯電話に午後11時頃、アプリを通じて着信があった。首相は「幸いにも私は就寝していて、電話に出なかった」と語り、15日朝に折り返し電話をするよう求めたという。
指導者を語る人物は、新たに別の音声データをペートンターン首相に送付。タイは活動に寄付していない唯一のASEAN諸国だと虚偽の主張をして、寄付を求めたという。
ペートンターン首相は「驚いたが、銀行口座番号が別の国だったので詐欺に気が付いた。指導者の声はAIを利用していたが、かなり似ていた」と語った。
ペートンターン首相は、プラサート・チャンタラルーントーン副首相兼デジタル経済社会相に調査を指示。ペートンターン首相は、首相の連絡先の入手経路について、詐欺団の被害に遭った首相の身近な人物から得た可能性があると述べた。
ペートンターン首相は、隣国の指導者への通報は控えるが、注意を促すため公にしたと述べた。