防災専門会社のSAKIGAKE JAPAN(本社:東京都中央区)は、2025年3月28日にミャンマー西部で発生したマグニチュード7.7の大地震で、震源地から約1000km離れたタイ・バンコクでの地震被害を現地調査し、防災協議を実施した。
同社がバンコクで実施した調査によると、高層建築物の中層階を中心に、天井・壁面の仕上げ材剥落、内装材の大規模破損、共用部の構造的歪みの被害を確認。一方、平屋や低層建物には大きな損壊は見られず、揺れの特性による被害が浮き彫りとなった。
同社によると、調査は4月14日に実施。震源地から約1000km離れたバンコクでも高層建物に深刻な影響が及び、特にタイ政府の会計監査院が入居予定だった高層ビルの倒壊は多くの犠牲者を出した。
同ビルは設計上の課題に加え、超長周期地震動の影響が構造物に及んだことが倒壊の要因と見られている。超長周期地震動は、震源から離れていても都市部に伝わる「ゆっくり・大きく・長く揺れる」タイプの地震動。高層ビルなどの長周期構造物と共振しやすく、構造的・機能的被害を生じさせる特徴がある。地盤が軟弱なバンコクのような都市では揺れが増幅されやすく、今後の都市化の中でリスクが拡大する恐れがあるという。
同社は、タイでは建築基準法の見直しが始まっており、今後は防災設計、教育、資材選定で日タイ連携の強化が見込まれるとしている。