タイ南部ナラーティワート県と国境を接するマレーシアのクランタン州は、国境を越えた犯罪や密輸の新たな取り締まり対策として、長さ100キロメートルの壁の建設を政府に提案する予定だ。
MGRオンラインなどの現地報道によると、マレーシアのモハメド・ファズリ・ハッサン副首相は、同州政府が連邦政府に壁建設の承認を求めていると述べ、「タイとマレーシアの国境は非常に広く、治安部隊の警備だけでは難しい。連邦政府に壁建設の提案を提出する」と語った。
マレーシアのサイフディン・ナスティオン・イスマイル内務大臣は10日、同州政府が提案している壁建設は、検討の初期段階だと説明。最終決定はアンワル・イブラヒム首相が議長を務める国家安全保障会議が下す予定だとした。
ナラーティワート県とクランタン州の国境は、100キロメートルに及ぶコロク川が隔てている。同州当局は、国境地帯には私有地が多く、密輸や犯罪の取り締まりが困難だとしている。
両国は国境を越えた犯罪に苦慮している。タイ警察は今月1日、クランタン州と国境を接するナラーティワート県のスンガイコーロック郡のホテルで、人気ユーチューバーを含むマレーシア人6人を不法入国の疑いで逮捕した。ナイトクラブで遊ぶ目的だったという。事件を受け、クランタン州の警察当局は、多くのマレーシア人がタイに不法入国していることを認めた。
X(旧ツイッター)アカウント「@ZacZakirin13」は、コロク川を渡る船の桟橋のグーグル・アース画像を公開。川幅は狭いところで約20メートルしかなく、麻薬や違法石油の密輸は簡単だと指摘している。