国際通貨基金(IMF)はこのほど、アジア太平洋地域の経済見通しを発表し、2023年は前年の3.8%を上回り、4.6%成長すると予測した。タイの経済成長率は3.4%で、前年の2.6%を上回る見込み。
経済見通しは、世界経済の回復が不安定な中、アジア太平洋地域は比較的明るい材料だと指摘。世界経済成長に占める同地域の割合は約70%で、「近年よりもはるかに大きい」とした。国別では、中国は34.9%、インドは15.4%、インドネシアは4.4%、日本は1.8%、バングラデシュは1.8%などとなっている。タイの割合は1.1%とした。
同地域の好調を支える要因として、中国の経済再開を挙げた。世界の他の地域の需要が弱いにもかかわらず、中国の消費が急増したことにより、域内全体の成長が促されたと分析した。リスク要因としては、米国が予想以上に金融政策を引き締めた場合の波及効果や、地経学的分断に伴うサプライチェーンの混乱などを挙げた。
また長期的には、人口動態の変化と生産性の低下により、中国経済が大幅に減速すると予想。同地域はグリーンエネルギーへの移行を加速しながら、イノベーションやデジタル化などを通じて長期的な成長を促進するための構造改革を優先するべきと提言した。