在タイ日本国大使館は23日、2025年1月~3月のタイの治安・一般犯罪等に関する情勢傾向を報告した。タイ深南部のテロは月平均約17件発生。邦人の犯罪被害届けは、前四半期から16件減の38件。入国管理法違反の罪などによる邦人の逮捕者は、同7人増の15人だった。
同大使館によると、タイ深南部(ヤラー県、パッタニー県、ナラーティワート県、ソンクラー県)では、銃器・爆発物を使用したテロが、月平均約17件発生。イスラム武装勢力の関与が疑われている。
外務省は、ヤラー県、パッタニー県、ナラーティワート県、ソンクラー県の一部(ジャナ、テーパー、サバヨーイ各郡)に危険情報「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」を発出中。同大使館は、「これらの地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください」と注意喚起している。また外務省は、上記以外のソンクラー県の各郡に「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」の危険情報を発出している。
邦人犯罪被害の届け出は38件。前四半期と比較して16件減少した。最も多い被害内容はスリで、詐欺盗(見せ金詐欺等)が続いた。
バンコク都内では以前から、「お札を見せてほしい」などと声を掛けてきた男女から現金やクレジットカードを抜き取られたり、「バッグをデザインしてプレゼントしたい」と言う外国人女性に、サイズ確認などの名目でバッグを手に取られるなどやり取りをしている間にクレジットカードを抜き取られたりする被害が複数発生している。
タイ警察が入管法違反などの罪で逮捕した邦人は15人。退去強制となったのは13人だった。
また同大使館は、ミャンマー国境地帯での違法労働について注意喚起。SNSなどで高額報酬を提示された外国人が、タイ渡航後、ミャンマー・シャン州タチレク市やカレン州ミャワディ市に連行され、違法労働を強要される被害が発生している。
ミャンマーでは2021年2月に発生したクーデター以降、国境周辺地域を少数民族武装組織が実質支配。周辺では戦闘が激化しているため、治安当局による救出や解決は困難な状況にあるため、高額報酬を謳う求人情報に騙されないよう呼び掛けている。