中国の電子商取引会社PDDホールディングズが運営するオンラインマーケット「Temu」が、タイのネット通販市場に参入した。Temuの東南アジア進出は、2023年のフィリピンとマレーシアに続き3カ国目。
プラチャーチャート・トゥラキットの報道によると、シンガポールの調査会社モメンタム・ワークスは30日、TemuがアリババやJD.comの競合企業だと報告。最大90%び割引プロモーションなどを展開し、多くの商品を格安で越境販売する。中国からバンコクまで5日以内に配送すると宣伝している。
タイは東南アジアで、電子商取引市場が急速に成長している国とみなされている。モメンタム・ワークスの「東南アジアにおける電子商取引2024」レポートによると、2023年のタイの電子商取引市場は190億ドル規模で、前年比34.1%増加。東南アジア地域内でインドネシアに次ぐ規模だった。2023年のサービス別タイ国内シェアは、Shopeeが49%、Lazadaが30%、TikTok Shopが21%。
Temuが進出したフィリピン、マレーシア、タイは、市場を独占する国産の電子商取引企業が存在しないため、Temuのサービス拡大に注目が集まっている。
Temuは2022年にアメリカ市場へ参入。アプリのダウンロード数は、数週間で同業のアマゾンやウォルマート、シェインを上回った。格安商品の販売に加え、多くの割引コードを配布。認知度を迅速に高めるため、大量のマーケティング予算を投入したという。
一方、ネイションの報道によると、オンライン決済システム会社などの創業者兼最高経営責任者のパウート・ポンビタヤパヌ氏は、Temuの参入により国内の電子取引市場は新たな価格競争が始まると指摘。短期的には消費者の利益となるが、長期的には競争力の劣る中小企業の打撃となると語っている。