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　中国人俳優のシンシンさんが今月3日にタイで拉致され、ミャンマーで強制労働させられた事件の影響で、中国のSNSではタイ旅行への安全を懸念する情報が拡散されている。タイ国政府観光庁（TAT）によると、今年の春節期間の訪タイ外国人旅行者のキャンセルは約1.2万人に上る見込み。

　クルンテープ・トゥラキットの報道によると、キャンセルの多くはチャーター便による地方都市への中国人団体ツアーで、初めてタイ旅行する人が多く、不安感が大きかったとみられる。

　TATは、春節期間中の観光収入を前年比9～10％増の403億6000万～406億6000万バーツと試算。国内旅行者は同26％増の222万人で、観光収入は同15％増の63億バーツ。

　外国時旅行者は同5～6％増の134～135万人、観光収入は同7～8％増の340億6000万～343億6000万バーツ。中国人旅行者は同3～7％増の27万7000～28万7000人、観光収入は同5～9％増の85～88億バーツと試算。香港、韓国、台湾、マレーシア、ベトナム、シンガポール、インドネシアの中華系旅行者の訪タイも見込んでいる。

　タイ観光産業協会（TCT）のラッチャポン副会長は、シンシン事件の影響で、中国人旅行者の宿泊予約4600件がキャンセルされたと述べた。中国人旅行者以外のキャンセルは約8000件。

　ラッチャポン副会長は、「中国人旅行者は、部外者である私たちの言葉を信じないだろう。問題解決のため、ペートンターン・シナワット首相は中国の習近平国家主席と会談し、中国政府から国民へ直接事実を伝えてもらうべきだ」と語り、早急に中国人旅行者による宿泊キャンセルの流れを断ち切る必要があるとした。

　タイホテル協会（THA）のティアンプラシット会長も宿泊予約のキャンセル件数を公表。年始からの宿泊キャンセル件数は約1万2428件で、そのうち中国人旅行者は4572件、その他の旅行者は7856件だった。

　中国人旅行者のキャンセル件数が多い地域は、バンコクが最多で2001件。次いでノンタブリー、チェンライ、チョンブリー、チェンマイ、プーケット、クラビー、スラートターニー、ターク、ナコンラーチャシーマーが続いた。

　その他の旅行者のキャンセル件数が多い地域は、チョンブリー県が最多で2888件。次いでバンコク、クラビー、プーケット、ナコンラーチャシーマー、スラートターニー、ノンタブリー、チェンライ、トラート、ターク、ウドンターニー、チェンマイ、ラヨーン、パンガーが続いた。

　また、タイライオンエア社のアッサウィン最高経営責任者は、シンシン事件の影響で、春節期間中の中国人団体ツアーのキャンセルが多く、同社の中国チャーター便が20％（40便）欠航となったと述べた。同氏は政府に対し、観光業への信頼回復のため、国際犯罪への対策を打ち出すよう求めた。