バイオベンチャーのビズジーンは19日、タイ・マヒドン大学熱帯医学部の協力でデングウイルスの血清型を識別する抗原検査キットの臨床試験を完了し、タイ食品医薬品局から製造承認を取得したと発表した。
同社によると、製品名は「VisCheck™ Dengue NS1 Rapid Antigen Serotyping Test」。2025年1月からタイの医療機関向けに販売を開始。その後、ASEAN諸国への展開を進める予定。
同抗原検査キットは、患者の血清中に含まれるNS1蛋白質(非構造蛋白質)の構造を厳密に識別し、高精度に4つの血清型を15分以内に判定できる。解析費用も従来の約5分の1で、幅広い医療機関での活用が期待されるという。
これまでタイ国内の医療施設では、時間と費用がかかるPCR解析を採用してきたが、新たに開発した診断技術を用いることで、感染者の血清型を特定し、重症化リスクを正確に予測することが可能となる。
同社は、大阪大学微生物病研究所(塩田達雄教授)と、糖尿病検査のパイオニア企業アークレイと共同で、デングウイルスの4つの血清型を識別する抗体技術と医療現場で実用化研究を進めてきた。
デング熱は蚊が媒介するウイルス感染症。熱帯・亜熱帯地域を中心に毎年約3.9億人が感染し、そのうち約9600万人が発症、約2万人が死亡していると推定されている。近年の地球温暖化の影響でデング熱の流行範囲が拡大し、日本国内でも感染報告が増加している。
デングウイルスには4つの血清型があり、初回感染では軽症で済むことが多いが、異なる血清型への再感染により重症化リスクが大幅に高まる。重症化するとデング出血熱やデングショック症候群に至り、最悪の場合は命に関わるという。