東芝(東京都港区)は10月31日、島根大学発のバッテリーテック・スタートアップであるナチュラニクス(東京都墨田区)と、電動バイクタクシーのドライバー向けバッテリーサブスクリプションサービスに関する実証実験を、タイ・バンコクで9月30日に開始したと発表した。高温環境でも長期間利用できる東芝製の電池を使用し、電動バイクタクシーの安定運用を目指す。
東芝によると、バンコクでは渋滞を回避しやすい電動バイクタクシーが利用されているが、高温環境下でのバッテリーの劣化が課題となっているという。
実証実験では、東芝が高温環境下でも長寿命特性をもつ東芝製リチウムイオン電池SCiB™セルを供給。ナチュラニクスがバッテリーパックの開発・製造を担当し、両社でバッテリーのアセットマネジメント、システムの開発、設置、顧客へのサブスクリプションサービスの提供を共同で検討する。
2025年度のサービス展開に向け、電池特製や各種センサー、通信機器の確認、AI(機械学習)によるデータ解析、ユーザーであるドライバーへのアンケートなどを実施。電動バイクタクシーの長期間の安定運用や利用料の低下、環境負荷削減への貢献を目指す。
バッテリー交換サービスは、ナチュラニクスが現地駐車場オペレーターとの合弁会社であるウィンディ―・インターナショナル(タイ・バンコク)を通じて実施する。
ナチュラニクスは2025年度にタイ子会社を設立し、SCiB™セルを搭載したバッテリーパックの量産を行う予定。電動バイクや3輪車のほか、フォークリフトやゴルフカートにもバッテリー供給を拡大したい方針。
リチウムイオン電池はタイのような高温地域では劣化の進行が早く、冷却機構を付加しにくい2輪車・3輪車に搭載されたバッテリーは1〜2年で交換するケースが多いという。ユーザーの経済的負担や発火事故の発生から普及が進まず、安全性の高いバッテリーが求められている。