医薬品・食料原料メーカーの協和発酵バイオ(神崎夕紀社長)は25日、タイ中部ラヨーン県にある現地法人タイ協和バイオテクノロジーズで、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)の生産設備を完成させたと発表した。HMO入り粉ミルクの需要は増加しており、消費拡大が見込まれるアジア市場に近いタイに生産拠点を置くことで、供給力とコスト競争力を確保する。
HMOの製造は今年から開始し、年間約300トンを生産。2023年から粉ミルクメーカーなどへの販売を始める。HMO入り粉ミルクの市場は欧米で継続的に伸びており、人口増加が見込まれる中国・東南アジア地域でも消費拡大が期待されている。
タイ協和社長の長野宏氏は「世界の乳幼児の発育と成長に寄与するため、安全で高品質なHMOの安定的な製造を実現する。またタイでの雇用を創出することで、地域活性化に貢献したい」と話した。
HMOは母乳に含まれるオリゴ糖の総称で、母乳中の固形成分の中では、ラクトースと脂質に次いで多く含まれる成分。牛乳やほかの哺乳類由来の乳にはほとんど含まれず、特にヒトの初乳に多く含まれており、乳幼児にとって重要な成分とされている。