タイ南部9県で発生した深刻な洪水被害による死者は、11月30日時点で170人に増加した。ソンクラー県の被害が最も甚大で、市街地では131人が死亡した。災害防止軽減局によると、水位は低下しているが、冠水している地域も依然多いという。
カオソッドなどの報道によると、水位が3メートルに達する深刻な洪水が発生したソンクラー県ハートヤイ郡では、24万3000人の住民が被害を受け、1万2800人が避難。県は24カ所に避難所を開設。食料や飲料水を配布している。
雨が止んだ各被災地で、住民は片付け作業に取り掛かっている。当局は、同郡ハートヤイ市にゴミ収集車60台と作業員約100人を派遣。水が引いた後に残った大量のがれき撤去を、10日までに処理を完了したい意向だ。各県の被災地ではゴミやがれきが散乱しており、当局が廃棄物の回収と清掃を続けている。
パッタニー県では多くの道路が使用可能になったが、ムアンパッタニー郡では複数の道路が現在も冠水。住民は帰宅できず、テント生活を続けている。
タイ国鉄(SRT)は、洪水で損傷した線路と信号システムの点検を開始。ハートヤイ線の7日復旧を目指す。SRTは、バーンドンドン駅からハートヤイジャンクション駅の区間で9カ所の損傷を確認。鉄道路盤の流出や、線路石の喪失、レール固定装置の損傷が見つかったという。ハートヤイジャンクション駅からスンガイコーロック駅の区間は14日までに通常運行の再開を目指す。
ソンクラー県では、被災者支援のため、修理センターを50カ所設置。職業学校の教師や学生が、水没した家電製品などの点検と修理を担う。