タイ工業連盟(FTI)の発表によると、2025年3月の産業景況感指数(TISI、100以上で好感)は、前月から1.6ポイント減の91.8で、3カ月ぶりに低下した。3月末に発生したミャンマー大地震や米国関税への懸念が要因。3カ月後指数も更なる低下を示唆している。
プラチャーチャート・トゥラキットの報道によると、3カ月後の景況感を予測する指数も3カ月ぶりに低下し、前月から1.9ポイント減の95.7。企業は4月2日から始まった米国の自動車輸入税25%を懸念しており、自動車輸出産業に影響する予測だ。
FTIのアピシット副会長は、3月の指数が低下した要因を5つ挙げた。まず1つは、3月28日に発生したミャンマー大地震による影響。地震と余震が観光客の信頼感に影響し、国内の経済活動が減速した。
2つ目は、米国向け鉄鋼・アルミニウム製品に対する輸入関税が、3月12日から25%に引き上げられ、関連産業の活動が鈍化。2024年のタイの鉄鋼輸出は総輸出の18.2%、アルミニウム輸出は13.3%を占めている。
3つ目は観光産業の減速だ。2月は安全上の懸念から中国人旅行者が前年比44.9%減少。マレーシア人旅行者は同16.6%減少した。
4つ目は自動車輸出の減少。米国関税の詳細が明らかになるまで、貿易相手国が注文を控えたため、自動車輸出が同8.3%減少した。
5つ目は脆弱な購買力。コメやサトウキビ、キャッサバなど農産物価格の下落が地域の支出に影響した。
3月のプラス要因として、住宅ローン監督基準の緩和による不動産刺激策を挙げた。また石油燃料基金管理委員会は、石油燃料基金への拠出率引き下げを決議。ガソリンとディーゼル価格が1リットル当たり0.50バーツ低下した。
経営者の不安が高まった項目は、国内経済57.3%、世界経済53.4%、内政43.6%。一方で不安が低下した項目は、原油価格31.9%、為替相場(輸出業者視点)30.5%、融資金利18.3%。