世界で発生しているオンライン金融犯罪についてまとめたタイ中央銀行(BOT)のBOTマガジン2023年第3号「The Global State of Scam Report-2022レポート」によると、2021年に報告のあったオンライン詐欺は、世界で2億9300万回だった。被害額は前年比10.2%増の553億ドル(1.935兆バーツ)で、支払いに関連した詐欺が最多だった。
タイラット・マネーの報道によると、BOTのレポートは、米決済システム会社ACIワールドワイドのレポート「It’s Prime Time for Real-Time 2023」と一致しており、2022年の調査で、消費者の5人に1人は振込み詐欺被害に遭っていることが分かった。
即時送金や受け取りが可能な、リアルタイム取引を採用している国では、犯罪率が増加。2022年に最もリアルタイム取引が多かった国はインドで、895憶回。詐欺率も最多で44.6%だった。2位はブラジル(292億回)で、詐欺率は22.6%。3位は中国(176憶回)で、詐欺率は10.7%。タイ(165憶回)は6位で、詐欺率は25.7%だった。
またレポートでは、2022年の各国オンライン詐欺の傾向を報告。イギリスでは決済詐欺が全体の57%を占め、被害額は4億2200万ポンドだった。企業や個人を装って被害者を騙して送金させるAPP詐欺が大半で、タイの傾向と似ているという。
2022年の詐欺被害額の最高額は、オーストラリア人の約31億オーストラリアドルだった。詐欺手法は多い順に、投資詐欺、ロマンス詐欺、注文していない商品などの不正な料金請求、インターネット詐欺、アプリダウンロードやリンクのクリック詐欺(スマートフォンの遠隔操作目的)だった。タイのケースと似ているため、注意が必要だという。
2023年にタイで報告された詐欺事件は、多い順に、「騙して商品やサービスを購入させる」、「就職斡旋を謳った振り込め詐欺」、「借入詐欺」、「コンピューターシステム経由の闘志詐欺」、「電話による脅迫」だった。
タイ中銀は現在、ほぼリアルタイムで異常な取引を検出・追跡するシステムの強化を進めており、年末にも完了する予定だとしている。