タイ警察がまとめた2022年の犯罪統計速報によると、殺人・傷害致死事件(未遂含む)は3381件、強制性交等事件は1621件、盗難事件等は2万4851件だった。また銃器・爆発物関連の事件では11万2993人、薬物犯罪では36万8752人が検挙された。タイでは薬物や銃器の氾濫などの要因から、日本と比べて高い水準で凶悪犯罪が発生しており、外務省は海外安全ホームページで注意を呼びかけている。
また首都バンコクでは、2021年中旬ごろから反政府デモが頻繁に発生。治安当局とデモ隊との間で激しい衝突が見られ、銃撃による負傷者も確認されているため、警戒が必要だとしている。
犯罪の発生場所について、バンコクでは特に旅行者が集まる観光スポットや繁華街、デパートなどの大型商業施設周辺、若い単独旅行者が利用するゲストハウス(安宿)周辺で多発している。チェンマイ市内でも、旧市街を中心に旅行者を狙った犯罪が発生しており、外務省は「夜の繁華街では十分な注意が必要であり、不用意に狭い路地へ入り込むことは危険」と呼びかけている。
日本人が巻き込まれる被害の多くは窃盗・詐欺で、2022年には東南アジアからの旅行者を装った女性(又は女装した男性)が、日本人男性に英語や片言の日本語で声をかけ、金をだまし取る詐欺被害が報告されている。タクシーや三輪タクシー(トゥクトゥク)の運転手など初対面の人から声をかけられ、安易に話に乗って詐欺等の被害に遭うケースも多発しているという。
他にもカラオケ店でのぼったくり被害や、「交際していたタイ人に宝石をプレゼントしたが、その後、連絡が取れない」、「結婚を前提に交際していたタイ人に家や土地、車購入の資金を渡したが、逃げられた」などの男女間のトラブルも報告されている。
外務省は、タイは諸外国と比べて安全なイメージがあるものの、法制度、文化的背景、風俗習慣など日本とは異なることを常に意識するよう呼びかけている。