日本からの投資拡大に取り組むタイ証券取引所(The Stock Exchange of Thailand:SET)は3月17日から22日にかけて都内で証券会社及び機関投資家等向けにロードショウを開催しました。その際に日本初となる報道機関等との意見交換会が開かれ、活発な意見交換が行なわれました。その様子を、解説を交えながらレポートします。
18日の日本の報道機関との懇談会では、来日したタイ証券取引所のパッタリーヤ・ベンジャポンチャイ代表が、「昨年の株価指数連動型上場投信(SET50-ETF)に続き、今年は株価商品先物のオプションの導入計画がある」と、日本でも人気の金融商品を導入する取り組みを説明しました。その上で、「投資拡大と経済成長を重視する民主政権が今年1月に誕生したことにより、投資環境は格段に良くなった。外資流入規制(30%ルール)も3月3日に撤廃された。今がタイ証券取引所に参加する日本人投資家を増やす良い機会」と、意気込みを語りました。
1975年4月に開設されたタイ証券取引所は、昨年の売買高が約1,044億米ドルと、東南アジアではシンガポール証券取引所に次ぐ規模があります。その約20%は海外からの投資で占められますが、日本からの投資は全体のわずか0.3%しかなく、日本人投資家の獲得が大きな課題となっており、これまでタイ証券取引所への日本からの投資が伸び悩んだ理由のひとつに、情報不足が上げられおり
「タイ市場に投資する人の多くは元駐在員などタイに住んだことのある人」(中堅証券会社幹部)
「ハイリスク・ハイリターンの中国市場などと比べ、ミドルリスク・ミドルリターンのタイ市場は話題になりにくかった」(投資雑誌編集長)
との意見も聞かれました。
人気こそ、中国市場やベトナム市場などの後塵を仰ぐタイ市場ですが、投資の魅力では他の新興国市場に引けを取らず、タイ証券取引所の株価指数は昨年だけで31.2%上昇しており、一方でPERも低く、配当利回りも3.5%以上の高利回り等非常に魅力的です。今問題となっているサブプライムに端を発する問題については「サブプライム問題など米国経済の影響による世界同時株安でも、株価指数は4.7%しか下がらなかった」(パッタリーヤ代表)との説明がありました。
さらに、現在の上場企業数(今年2月末時点)はSET市場が474銘柄、新興市場のmai市場が51銘柄ですが、今年は大型5社を含む37社以上がIPO(株式公開)を予定するなど、軍事政権から民主政権に代わったことにより、市場自体の成長にも勢いが出てきたとの御話でした。
タイの国内投資家に積極的に参加してもらう為の政策として、日本でも非常に大きな効果を上げた株式取引にかかる諸税の減税法案を予定しているとのことです。
タイ証券取引所では昨年3月、日本における最初の一般投資家向け説明会を開催。今年に入ってからも日本国内でロードショーを継続しており、今後も日本でのPR活動を積極的に行うことで、日本人投資家の関心を高めていく方針のようです。