韓国当局は、22歳の学生が偽の就職情報でカンボジアに誘い出され、誘拐・暴行を受けて死亡したとみられる事件について、カンボジア大使を召喚し、深刻な懸念を表明した。また魏聖洛(ウィ・ソンナク)韓国国家安保室長は、カンボジアに滞在する韓国国民の速やかな帰国を求めた。
カオソッドなど現地報道によると、韓国の趙顕(チョ・ヒョン)外務大臣は10日、カンボジアのクオン・ポン・ラタナク大使を召喚し、カンボジアにおける韓国人の就職詐欺や強制監禁事件の増加に深刻な懸念を表明。さらなる事件を防ぐため、より強力な措置と警察当局間の緊密な協力を求めた。
大学生は7月17日、カンボジアに入国。2週間後、カンポット州ボコール山付近で、車内から遺体が発見された。警察は、身体的虐待を受けた証拠を発見。学生は拷問を受け、心臓発作で死亡したとみられる。遺体は現時点で返還されていない。
家族によると、学生がカンボジアに到着後、すぐに5000万ウォン(約3万8500ドル)の身代金を要求する電話があった。警察は、学生への拷問と殺人に関わったとして、中国人容疑者3人を逮捕、起訴した。
韓国外務省のデータによると、カンボジアで報告された韓国人の誘拐・監禁事件は、過去5年で急増。2021年の2件から2022年には11件、2023年には21件、2024年には221件と増加し、今年1~8月はすでに330件に達している。
ラオス、ミャンマー、タイの3カ国の国境が接する「ゴールデン・トライアングル」と呼ばれる地域で活動していた多くの電話詐欺やロマンス詐欺団が、カンボジアに拠点を移設。カンボジア在住の韓国人を狙った求人詐欺や監禁事件の増加に繋がっているという。
韓国外務省は10日、プノンペンの渡航警戒レベルをレベル2(渡航自粛)から特別渡航勧告に引き上げ。渡航者に対し、不要不急の渡航のキャンセルや延期を求めた。