カシコン銀行傘下のカシコン・リサーチ・センターが実施した調査によると、タイでは電子書籍の利用が増加している一方、紙の書籍の購入は減少しており、2025年には書店の収益が4.5%減少する見込み。
プラチャーチャート・トゥラキットの報道によると、同センターは、読書に時間を費やすタイ人が増加し、電子書籍への関心が高まっていると明らかにした。2024年の調査では、紙の書籍を読む人は2019年の98%から81%に減少。一方、電子書籍は22%から33%に増加した。
電子書籍の成長を牽引している要因は主に価格で、電子書籍は紙の書籍より約27%安いという。紙の書籍は過去5年間で、生産コストが40%上昇。販売価格も上昇し、1冊当たりの平均価格は2020年の約230バーツから約290バーツに上昇している。上昇率は年平均4.7%。こうした価格差から、一部の消費者は紙の書籍の購入を控え、電子書籍を選択している。
消費者行動の変化から、書店数は過去5年間で12%減少。書店の収益は2018年の15億バーツから10億バーツまで減少した。
書店業界も手をこまねいている訳ではない。オンライン販売の拡大や、地域の顧客に合わせた品揃え、カフェや読書スペースの開設など対策を講じ、コロナ渦前よりも売上高の減少幅が縮小。年間14%だった売上高の減少幅は、2025年に4.5%減に縮小する見込み。
同センターは、書店業界のリスクとして、若年層がTikTokなどの短時間で簡潔に楽しめる無料コンテンツを好むことや、消費者の購買力低下、読者の興味の細分化の3点を挙げている。