タイ深南部ソンクラー県で深刻な被害が発生している洪水は、近隣県にも拡大している。ハートヤイ病院は26日、洪水の影響で22日から25日までに14人が死亡したと発表した。
カオソッドなどの報道によると、ソンクラーン県ハートヤイ郡の市街地では水位が3メートルに達し、自宅の屋根の上などに多くの住民が逃げ、取り残されている。保健省は、ハートヤイ病院が浸水する恐れがあるとして、患者90人を航空機で緊急避難させるよう指示した。
フェイスブックには、迫る洪水から逃れるために電柱に登り、電線をつたって逃げる男性3人の動画が投稿され、「多くの命が脱出の希望を持っている。水位は2階まで達し、食料と水が尽きかけている。当局に連絡が取れない。助けて」と悲痛なメッセージが添えられている。
また、「24時間以上前にコブラに噛まれ、出血している。呼吸と心拍が速い。誰も助けに来てくれない」、「とても疲れて空腹だ。両親は慢性疾患の薬を服用する必要があるが、3日間何も食べていない。寒くてこの試練を言葉にできない」など、助けを求める多くの投稿が発信されている。
パッタニー県では、豪雨の影響で、上流のヤラー県からパッタニー川に大量の鉄砲水が流入。水位が急激に上昇して堤防を越え、県随一の経済地区であるパッタニー市街地全域の道路が浸水した。
水位は40~50センチに達し、小型車両が通行できない状態。水位の上昇が急だったため、多くの店舗や住民は商品や所持品を持ち出せなかったという。
パッタルン県では、カオ・バンタド山からの流出水が県全域を襲い、畑で収穫中の女性など4人が死亡した。キンラー郡、タモート郡、パーボーン郡の山麓地域では、多くの道路が寸断し、住民が孤立している。
南部サトゥーン県(ランガ地区)には森林からの流出水が急速に流れ込み、当局は住民に避難準備を指示。マレーシア国境のナラーティワート県スンガイコーロック郡では多くの地域で鉄砲水が発生し、当局が住民に緊急避難を通告した。