タイ湾に面したタイ中部サムットプラーカーン県が、地球温暖化の影響で最も水没の高い地域として注目されている。専門家は、予測通りに海面が上昇した場合、2030年から2050年の間に同県の面積の30%が水没の危険性があると警告している。
クルンテープ・トゥラキットの報道によると、ランシット大学気候変動・災害センター所長で、気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)の専門家であるセーリー准教授は、具体的に対策を実施しなかった場合、県民が洪水や排水されない停滞水、海岸の水没に悩まされ続けると説明した。
同県では9月7日、雨量が70ミリ以下にも関わらず洪水が発生。チャオプラヤー川や各運河の水位が上昇していたことが要因で、主にシーナカリン通りやプラエクサ通り、スクムウィット通りが影響を受けた。
セーリー准教授は今後、同様の事象がより頻繁かつ深刻になると予測している。同氏のチームは、米国の位置情報データサービス会社ESRIと共同で、洪水が地域社会に及ぼす影響を評価。降雨量が最も多いのは10月で、約20~30%増加する見込み。6時間以内に150ミリの降雨量を予測した洪水シミュレーションでは、多くの地域が水没する可能性があった。
最も懸念されるのは、IPCCが予測している2030年から2050年に海面が0.3~0.7メートル上昇した場合で、サムットプラーカーン県の30%が永久に水没し、隣接するバンコクに直接影響するとしている。