在タイ日本大使館は23日、2025年4~6月のタイの治安と一般犯罪に関する情勢傾向を報告した。タイ南部のプーケットとクラビなどの観光地では、6月に爆発物が連続して発見される事件が発生。カンボジア国境の緊張状態も続いているとしている。
同大使館によると、タイ深南部(ヤラー県、パッタニー県、ナラティワート県、ソンクラー県)では、イスラム武装勢力が関係すると思われる銃器・爆発物を使用したテロが、月平均約15件発生(前四半期約17件)。
外務省は、ヤラー県、パッタニー県、ナラティワート県、ソンクラー県の一部(ジャナ、テーパー、サバヨーイ各郡)に危険情報「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」を発出中だ。
タイ南部プーケットやクラビなどの観光地では6月、爆発物が連続して発見される事件が発生。在留邦人や渡航者に対し、不測の事態に巻き込まれないよう、最新情報の入手に努め、テロの標的となりやすい不特定多数の人が集まる観光施設周辺やイベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設では常に注意が必要だと呼び掛けている。
5月に発生したタイとカンボジアの国境付近での軍事衝突にも言及。両国国境地帯では、現在も緊張状態が続いているため、当面の間、不用意に近づかないよう注意喚起している。
邦人犯罪被害の届出は44件。前四半期と比較して6件増加した。最も多い被害はスリで、詐欺盗(見せ金詐欺など)が続いた。
またタイ警察は、入管法違反や恐喝などの罪で邦人5人を逮捕。7人が退去強制となった。
特殊詐欺にも引き続き注意が必要だ。近年、東南アジアを中心とする海外で、特殊詐欺事件の「かけ子」として犯罪に加担させられた結果、現地警察に拘束される事件が多発。「海外で短期間に高収入」「簡単な翻訳作業」などの闇バイトの謳い文句に誘われ、「海外旅行に出かけて小遣い稼ぎができる」などと安易な気持ちで海外に渡航した結果、意図せず詐欺犯罪の加害者になってしまうケースがある。
闇バイトに一度加担すると、パスポートを取り上げられて軟禁状態となり、自分自身や家族の個人情報をもとに脅迫を受け、抜け出すことができないばかりか、組織内でのトラブルで暴行を受け、重傷を負う恐れもある。同大使館は、「短期間で多額の報酬を得られるような仕事は、海外でも通常はない。安易に求人に応募して犯罪の加害者にならないよう、十分慎重に行動して」としている。