マーケティング事業を展開するコアストーリー(東京都渋谷区)は6月、日本を訪れたことがあるタイ人を対象に、インターネットで「日本旅行に関するアンケート調査」を実施した。過去の訪問先は東京、大阪、京都が多い一方、次回訪れたい都道府県は北海道がトップ。佐賀や山形など、地方への関心も高まっていることが分かった。
同社によると、これまで訪れたことがある都道府県は、東京が最も多く、次いで京都、北海道、大阪、沖縄といったゴールデンルートの都市が上位を占めていた。日本の玄関口としてのアクセスの良さや、知名度の高さが理由と考えられる。
また、北海道や沖縄のランクインは、自然景観や特定の目的を持って訪問先を選んでいる傾向がうかがえる。
次回訪れたい都道府県では、北海道が圧倒的な人気を誇った。豊かな自然や食、雪景色への高い関心があると見られる。次いで大阪、福岡、山梨が続いたが、注目すべきは、佐賀、和歌山、山形といった地方がトップ10にランクインした点だ。訪日リピーターが増加し、定番の観光地から「まだ見ぬ日本の魅力」を求めて関心が地方へと分散していることを示唆している。
次回訪れたい都道府県を選んだ理由では、「自然を満喫するため」が最も多く、次いで「その土地ならではの郷土料理を味わうため」となっている。特に、「有名な温泉がある」「スキーや雪景色を楽しむため」といった体験を目的とする項目が、「ショッピングや街の雰囲気を楽しむため」を上回り、タイ人旅行者の関心が、物を買う「モノ消費」から、その場所でしかできない体験を重視する「コト消費」へシフトしていることが分かった。
次回の日本旅行で試したい体験について、最も多かった回答は「ヴィンテージショッピング」、「伝統的な祭り参加」だった。他にも「スキー・スノーボード」、「登山・ハイキング」、「古民家宿泊」などが上位にランクインし、より深く日本の文化や自然に溶け込める体験への関心が高いことがうかがえた。
日本旅行を検討する際、タイ人旅行者が主に参考にする情報源として、「Facebook」や「YouTube」などのSNSが圧倒的に多かった。訪日観光のプロモーションでは、テキストベースの情報提供に加え、動画を活用したプロモーションも必須と言える。
地方旅行の懸念点では、「言語の問題」を挙げる人が最も多かった。次いで「交通の不便さ」、「リアルタイム情報を得にくい」、「インターネット環境の不便さ」、「キャッシュレス決済の不便さ」といったデジタル関連の不安が僅差で続いた。
タイ人はスマートフォンでの情報収集や決済に慣れているため、物理的なアクセスだけでなく、シームレスなデジタル環境の整備が地方誘客の重要な鍵であることを示唆している。
旅行時の同伴者については「カップル/配偶者」「家族」が最も多く、合計数が全体の半数以上を占めた。対照的に「一人旅」が最も割合が低かった。滞在日数は「3〜4日」が最も多く、「5〜7日」と合わせると8割以上が1週間以内の短期滞在だった。連休などを利用し、気軽に繰り返し日本を訪れるタイ人の旅行スタイルがうかがえた。
次回の日本旅行の予算は「2万〜4万バーツ」が最も多かった。一方で、高価格帯の「6万1〜10万バーツ」と「10万バーツ以上」の予算を組んでいる旅行者は全体の2割で、特別な体験に支出を惜しまない富裕層も確実に存在することが分かった。