海外逃亡中のインラック・シナワット元首相は22日、同氏が推進した「コメ担保融資制度」をめぐり、最高裁判所が100億バーツの賠償を命じる判決を出したことを受け、「どれだけ働いても、一生かかっても支払えない巨額の金額だ」と自身のFacebookでコメントした。
マティチョンなどの報道によると、同制度は、政府が市場価格より高い水準でコメを買い取る制度。最高裁は22日、同制度によりインラック氏が国に巨額の損害を与えたとして、100億バーツの賠償命令を出した。
インラック氏は投稿で「判決は極めて不当」と述べ、下級裁判所の判決では、自身に金銭的責任がないと判断されたと指摘。最高裁判決では、自身が直接管理していない機関が引き起こした損失を、全て負うことになったと述べた。
インラック氏に対する判決は、インラック政権を失脚に追い込んだ2014年の軍事クーデターから11年目の22日に下った。同氏はFacebookで「同制度はコメ価格を安定させ、農家を貧困から救うための取り組みだ。選挙で選ばれた指導者が法の下で公正な扱いを受けないのなら、一般市民は真の正義を期待できない」と語った。
インラック氏の姪のペートンターン・シナワット首相は22日夜、インスタグラムで、大きな困難に直面した人々への励ましの曲として知られるボイド・コシヤポン作詞のポップソング「シーズン・チェンジ」を引用し、インラック氏と撮った写真を投稿。また、タイ貢献党の「5月22日。正義は幾度となく奪われてきた」との投稿をシェアした。
政治アナリストらは、インラック氏への巨額賠償命令について、タクシン氏が長年の停滞勢力からの激しい反発に直面していると示唆。
元新未来党のピヤブット・センカノックル氏は23日、「最高裁の判断を基準にすれば、タイの首相は今後、選挙公約を実行できず、国家運営が不可能になる」と自身のFacebookに投稿。首相が責任を問われないために最も安全な策は、新政策を提案しないことだと述べた。