2023年10月7日に発生した、パレスチナ・ガザ地区を実効支配する武装組織ハマスによるイスラエル攻撃で捕らえられていたタイ人5人とイスラエル人3人の人質が30日、解放された。
タイラットなどの報道によると、ハマスは30日午後6時15分(タイ現地時間)に8人の解放を発表。イスラエル首相府の声明によると、解放されたタイ人5人はポンサック・テーンナーさん、サティアン・スワンカムさん、ワチャラ・スリアウンさん、バンナワット・チェータオさん、スラサク・ラムナオさん。解放された8人は国際赤十字病院へ搬送された。
タイ政府が確認しているタイ人人質は8人。その内2人が死亡、5人が解放され、残るタイ人人質は1人。
釈放されたタイ人人質の5人は、2023年の攻撃発生時、イスラエル南部の農場で働いていた。ワチャラ・スリアウンさんの母親ウィワエオさんは、「息子が生きていた。息子に会ったら抱きしめたい。健康状態が知りたい。心配だ」と語った。
ワチャラさんは東北部ウドーンターニー県のゴム農家出身。家族を支えるため、高い給料を求めてイスラエルに移住していた。同県にあるウィワエオさんの自宅には親族約10人が集まり、情報を待つウィワエオさんを支えた。ウィワエオさんは解放の情報について、29日午後10時頃、友人からの電話で知ったと話し、「眠れなかった。午前3時まで起きていて、夫とゴム採取に出掛け、その後はずっとニュースを見ている」と語った。
ワチャラさんの弟もイスラエルで働いていたが、ワチャラさんが拉致された後に帰国した。ウィワエオさんは「心配だったので帰国するよう頼んだ」と話している。
イスラエルで働いているタイ人労働者は約3万人で、多くが農業従事者。タイ労働省は先週、イスラエルでの労働力を1万3000人増員すると発表した。