タイ・ラック・タイ党内の数少ない良識派の一人として知られ、また現在行われている総選挙の比例代表名簿に名を連ねているプレームサック・ピヤルラ氏が出家を理由に昨日党を脱党した事により、総選挙後の下院議会成立に新たな危機的要因がもたらされたようです。。
今回の脱党により、野党不在の中で行われている現在の総選挙で仮にタイ・ラック・タイ党が圧勝しても、比例代表区からは99人の議員しか送り込めず、他の小政党が有権者の5%以上に相当する票を得られず比例代表区から議員を送り込むことができなくなった場合は比例代表区の定数100人に満たない事になり、下院議会そのものの成立が不可能になる可能性が指摘できる訳ですが、選挙委員会側の非公式見解では、比例代表区の候補者は名簿提出後は出馬を取り消すことが出来ないとの法律規定があることから、たとえ離党届を提出しても候補者としては有効であるとの解釈を示しているようです。
ところがプレームサック氏が既に選挙権を持たない(憲法105条)僧籍に入っている為、選挙委員会側の非公式見解そのものが適用不能になる可能性もある為、最終的に憲法裁判所の判断に委ねる方向でタイ・ラック・タイ党側は動いているようです。
もし選挙区から出馬した場合は、所属政党に関係なく絶対に当選できると言われる位に東北地方の住民からの求心力が高い事でも知られるプレームサック氏は、いち早く政局が危機的状況に向かいつつある事を察知し、早い時期から他人から意見をされる事を極端に嫌うタクシン首相に対して自重を求める発言を繰り返してきた事でも知られ、またその為に今回の総選挙では名簿順位93位という屈辱的な序列に据えられ、動向が注目されていました。
尚、プラッ・パヨームという名で親しまれている高僧のパヨームガラヤー・ノ−師によると、プレームサック氏は既に2-3日前に出家しプラッ・プレームサックゴーという名を授けられており、一ヶ月間に渡ってスワン・ゲーオ寺で修行を行い、その後も僧侶として修行を続ける予定になっているようです。
また、今回の出家によって、政府側が3月14日に首相官邸前で大規模なデモ行動を予定している民主主義市民連合側に対して精神的な圧力をかけるために、こっそりパヨームガラヤー・ノ−師に当日朝に官邸内で仏教のお祓いの儀式を行うよう依頼する打診があったことが同師の口から明らかになっていたりしてます。尚、同師によると別の儀式の関係で政府側の申し出を断ったとのこと。
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