富士フイルム( 東京都港区)はこのほど、タイのバンコクにがん検診を中心とした健診センター「NURA(ニューラ)」の新拠点を、年内に開設すると発表した。
同社によると、新拠点は同社の直営。フィリピン・マニラとマレーシア・クアラルンプールでも年内にオープンする。ベトナムのホーチミンでは、同社の支援で現地医療機関が運営する新拠点を3日に開業。がん検診や生活習慣病検査サービスの提供を開始した。
同社は2021年、インド・ベンガルールに健診センター「NURA」を開設。以降、モンゴル、ベトナム、アラブ首長国連邦など新興国での健診サービス事業を拡大。医療機器や医師の診断を支援するAI技術を活用し、検査から医師による検診結果のフィードバックまで、約120分で完了できる点が好評だという。
同社によると、東南アジアでは、がんや虚血性心疾患、糖尿病などの非感染性疾患が死因の55%を占め、死者数は年間約950万人に上っている。そのうち半数が70歳未満で、死亡率や重症化リスクの抑制のため、早期発見と早期治療が求められている。一方、東南アジアではがん検診など包括的な健診サービスを提供する施設が少なく、健診を受ける文化が定着していないという課題があるという。
同社は、「より多くの人が高品質な健診サービスを受けられる環境を構築し、世界の医療の発展と人々の健康の維持増進に貢献する」としている。