国民投票で選ばれたはずのタクシン派政権が、各方面からの圧力が強まっている。
2011年の下院総選挙でタクシン派プアタイ党が下院500議席の過半数を取得し、首相に任命されたタクシン元首相の妹インラック首相だが、先日憲法裁判所による判決で失職した。
11年に国家安全保障局のタウィン事務局長を異動させたことについて職権乱用にあたるとの理由だが、憲法裁判所などの司法はこれまで事あるごとに、タクシン派には厳しすぎる判決を下しタクシン派政権を崩壊させている。
08年には当時のタクシン派で首相だったサマック氏に対して、テレビ番組に出演して報酬を得たことが大臣の副業規定に抵触するとして、同様に失職した。
その後を引き継いだソムチャイ氏も、07年時の下院総選挙で不正があったとして与党幹部の参政権を5年間停止する判決を下し、タクシン派政権丸ごと崩壊した。全て憲法裁判所によるものだったことから、司法クーデターとも呼ばれている。
また突然戒厳令を発令し治安維持権を現暫定政権から剥奪し、仲介役に乗り出してきた陸軍も現時点で中立を保っているようにもみえるが、和解案として提示しているのは、現暫定政権を解散し新たな暫定政権を樹立後に選挙を行うというもので、反タクシン派が訴えているものに近い。
これまでに2006年の軍事クーデター、2010年のタクシン派デモ隊への強制排除などを見る限り、反タクシン派と見られてもおかしい話ではなく、タクシン派は警戒しているようだ。
この他反タクシン派が多いとされる上院議会でも、一部議員から暫定政権に解散を求めたり、上院から新たな首相の選出する動きも見られ、徐々に包囲網は狭まっており、タクシン派の選択肢は限られてきている。