タクシン派と反タクシン派の軋轢によって国内政情不安が続く中、ついに軍が戒厳令を発動し事態の収拾に乗り出した。暫定政権が権限を持っていた治安維持権を剥奪し、軍をバンコク都内各所に展開し、独自の治安維持を開始した。
突然の動きにもかかわらず、反タクシン派グループを主導するステープ氏は、以前から反タクシン派とされる軍に軍事介入を求めていたこともあり、歓迎ムードだ。
一方でタクシン派は、2006年に軍事クーデターによって政権をひっくり返されたり、2010年にはバンコク都内中心部で行っていたタクシン派デモ隊を反タクシン派政権指示のもと、現陸軍司令官であるプラユット大将が強制排除を行った過去があり、反発・警戒しているようだ。
21日から各勢力の代表者らを集めた会合がプラユット大将を中心に行われているが、これまで通りタクシン派は選挙を再優先、反タクシン派は選挙を行わない形で新たな政府の樹立を求め、プラユット大将はこの両派の中間をとる形で、現暫定政府を解散し新たな暫定政府を樹立後に選挙を行うという和解案を出しているようだ。
軍が強権発動し表舞台に出てきたからには、これまで通りタクシン派が進める選挙を再優先という流れはなさそうだが、反タクシン派が求めている選挙を行わない形で新たな政権を樹立することも考えにくい。
またプラユット大将が和解案として提示したものでも、現暫定政府を解散したとしても、タクシン派と反タクシン派による政治の方向性が違うだけに、新たな暫定政府の閣僚をどのように決定するのかなど、問題点は多い。
今日にも結果が判明することになるが、禍根を残すことになりそうだ。