タイ工業連盟(FTI)の発表によると、2025年11月の産業景況感指数(TISI、100以上で好感)は、前月比87.3から89.1に上昇した。政府の景気刺激策「共同支払いプラス」制度と、観光ハイシーズンがプラスとなったが、カンボジアとの緊張の高まりから企業は慎重姿勢を維持している。
クルンテープ・トゥラキットなどの報道によると、FTIのクリエンクライ・ティエンヌクル会長は、観光ハイシーズンに入り、観光関連産業にプラスの影響が出ていると説明。また企業は、年末年始商戦の需要増加に対応するため、生産を加速していると指摘した。
貿易分野では、政府間のコメ協定で中国は50万トン、シンガポールは10万トンを確保。農家の収入増加に繋がった。
10月1日に始まった2026年度の予算支出の加速も、指数上昇を促した。
だが、南部で発生した大規模洪水などのマイナス要因が経済を圧迫。洪水による12月の被害額は推定200~300億バーツで、2026年に入っても影響は続き、被害額は900億バーツに達する見込み。カンボジアとの和平協定の停止で紛争が長期化し、国境貿易にも影響が出ている。
FTI加盟企業の47業種から経営車1330人を対象に調査した11月調査で、懸念が減少した項目は、国内経済(61.7%)、世界経済(56.2%)、政府政策(42.3%)、融資借り入れ(26.4%)、エネルギー価格(26.2%)、融資金利(20.4%)だった。一方、懸念が高まっている項目は為替相場(49.5%)。
3カ月後予測は、前月の93.5%から94.9に上昇。エネルギー規制委員会が2026年1月から4月の電気料金を1ユニット当たり3.88バーツに引き下げる決定などがプラスとなった。企業のコスト削減と生活費の軽減が期待される。11月29日から12月10日に開催されたモーターエキスポ2025は、国内自動車販売の押し上げに繋がる見込みだ。