タイのアヌティン・チャーンウィラクン首相兼内務大臣は11日午後10時頃、自身のフェイスブックに「権力を国民に返す」と投稿し、下院を解散する意向を示した。最大野党の人民党が、アヌティン政権への不信任決議案を提出する動きを見せていた。
公共放送PBSなどの報道によると、ラーマ10世国王陛下は11日夜、アヌティン首相が提出した下院解散の王室令を承認したという。今後、45日~60日以内に選挙を実施する。
王室令の前文では、少数派政権として9月に発足したアヌティン政権は、経済的不安定や社会的緊張、変化する国際関係、タイ・カンボジア国境の混乱など山積する課題に直面し、少数派政権では安定を保証できないと強調。下院解散と総選挙により、明確な統治権限を持つ安定した多数派政権の樹立が可能になるとしている。
これに先立ち、国会では、憲法改正手順の条件の1つである「上院議員の3分の1の賛成」を巡って議論が激化。政権側が条件を維持しようとしたため、廃止を求める人民党がアヌティン政権への不信任決議案を提出する動きがあった。
アヌティン氏は9月5日に首相に選出された。議会での首班指名選挙では、憲法改正と来年1月末までの下院解散を条件に、最大野党の人民党がアヌティン氏に投票した。