外務省は8日、カンボジアとタイの国境情勢の悪化について外務報道官談話を発表し、10月26日に両国間で国境紛争に関する共同宣言が署名された後も、軍事的措置が相次ぎ、両国間の緊張が再度高まっている状況を深く憂慮すると述べた。
外務省はまた、両国の関係改善が地域全体の安定と発展にとって不可欠だと指摘。「両国間の情勢の推移を懸念をもって注視し、情勢をエスカレートさせ得る如何なる行動についても反対する。両国に対し、10月26日の共同宣言の精神に則り、停戦合意の遵守、最大限の自制及び対話を通じた平和的解決を改めて求める」として、引き続き米国やASEAN議長国であるマレーシアを始めとする関係国と連携しながら緊張緩和のための取り組みを進めるとしている。
また在タイ日本国大使館は8日、国境での緊張について、「戦闘の状況次第では、国境からある程度離れた地域でも不足の事態が発生する可能性を否定できない」とし、最新情報の入手と、危険地域からの速やかな避難を呼び掛け。当局の避難指示や誘導に従うよう述べた。
7月の戦闘開始以降、外務省はシーサケート県、スリン県、ブリーラム県、ウボンラーチャターニー県、サケーオ県、チャンタブリー県、トラート県のカンボジア国境から少なくとも50キロメートル以内について、危険レベルを3に引き上げ。現在もその危険レベルを維持している。
一方、在カンボジア日本国大使館も8日に注意喚起を発表。7日から8日にかけて、プレアビヒア州とウドーミエンチェイ州のタイとの国境地帯で軍事衝突が発生し、「両国国境地帯での緊張が再び急速に高まっている」として、国境地域に近づかないよう注意喚起している。
外務省は、カンボジアのウドーミエンチェイ州全域、プレアビヒア州チョアム・クサーン郡、バンテアイミエンチェイ州、バッタンバン州、パイリン州、ポーサット州、コッコン州のタイ国境から30キロメートル以内について、「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」を発出している。