日経フォーラム第30回「アジアの未来」に出席するため訪日中のマーリット・サギアムポン外務大臣は5月30日、岩屋毅外務大臣と会談し、投資を含めた経済関係の強化で一致。岩屋外相は、タイの経済協力開発機構(OECD)加入を力強く支援すると話した。
外務省によると、両外相は午後0時05分から約40分間会談。午後0時45分からは、約60分間のワーキング・ランチを行った。
岩屋外相は冒頭、2027年の日・タイ修好140周年に向け、「包括的戦略的パートナー」として両国関係の更なる深化させたいと挨拶。マーリット外相は、岩屋外相と協力して両国関係を更に発展させていきたいと応じた。
岩屋外相は、3月のミャンマー中部を震源とする地震被害に触れ、防災分野の知見を共有し、引き続き協力していくと述べた。またOECDへの加入を希望しているタイを支援するため、東南アジア諸国を対象としたOECDによる人工知能(AI)関連ワークショップをタイで開催すると話した。
また両外相は、4月に実施したエネルギー・産業対話の成果を踏まえ、日本企業の拠点であるタイと日本との経済関係を、投資の拡大も含め一層強化していくことで一致。高度産業人材の育成、科学技術、宇宙、脱炭素分野で引き続き協力することや、社会保障協定交渉を進めていくことを確認した。
厳しい安全保障環境を踏まえ、両外相は、安全保障分野の協力を進めていくことで一致。政府安全保障能力強化支援(OSA)案件を具体化していくことを確認した。
両外相は、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、法の支配や多角的自由貿易体制を維持・強化していく重要性を確認。東シナ海・南シナ海情勢、ミャンマー情勢、ウクライナ情勢、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応、米国の関税措置と世界経済、多角的自由貿易体制への影響などについて議論。
国際的な人権の促進や、特殊詐欺などの国境を越える組織犯罪への対処についても議論し、緊密に連携していくことを確認した。