タイ政府は、子どもや若者の間で使用が拡大している電子タバコの取り締まり強化に乗り出している。電子タバコを巡っては、学校近くで安価で販売する店や、子どもに人気の「ドラえもん」などのキャラクターをデザインに利用するなど手に取りやすい状況から若者の間で流行。最近では電子タバコを2年間使用していた女子生徒3人が、肺に深刻な損傷を受けて一時危篤状態と報道されるなど、社会問題になっている。
タイラットなどの報道によると、首相府のアヌグーン副報道官は21日、電子タバコの輸入・販売の取り締まりを徹底すると述べ、違法に販売した者は禁固3年・罰金60万バーツ、輸入業者は禁固10年・罰金は商品価格の5倍を科すとした。
バンコク都内の警察署は20日、管轄区域内の電子タバコの販売業者を逮捕。3000点以上の電子タバコと関連製品を押収した。学校近くの店舗についても取り締まりを強化しているが、一部の役人が賄賂を受け取り見過ごしているケースもあるという。
東北部ブリーラム県では今月、電子タバコと麻薬のクラトムジュースを2年間摂取していた女子生徒3人が、嘔吐と胸の圧迫感、呼吸困難を訴えて学校から病院へ搬送される事件が発生。3人は一時危篤状態と報道されたが、現在は回復に向かっているという。
警察は地元の電子タバコ販売業者を逮捕。同県保険局長は、生徒が電子タバコやクラトムジュースに接するのを保護者が止めなければならないと警告した。
保健省などの調査によると、現在、電子タバコ中毒に陥っているタイの子供や若者は18.6%。「電子タバコの利用で紙タバコを禁煙できる」と勘違いしていた若者は61.2%、「ニコチンが健康に良い」は51.2%、「電子タバコは紙タバコより危険性が低い」は50.2%など、間違った認識が広がっている実態が浮き彫りとなっている。