タイ憲法裁判所は7日、最大野党である前進党について、立憲君主制と国家の安全保障を危険にさらしたとして、全会一致で解党判決を下した。また党幹部11人に対し、10年間の政治活動を禁止した。
プラチャーチャート・トゥラキットなど現地報道によると、憲法裁は午後3時に判決を発表。裁判官9人は、同党が刑法第112条(不敬罪)の改正に向けて、継続的かつ真剣に活動し、立憲君主制と国家安全保障に脅威を与えたと述べた。
憲法裁は、2021年3月25日から2024年1月31日までの期間、党の重役に就いていた幹部11人に対し、10年間の選挙への立候補と新党設立、新党結成への参加を禁じた。
対象の11人は、ピタ・リムジャロエーンラット前党首、チャイタワット・トゥラトン現党首、ナティパット・グンラセートシット氏(財務担当)、ナコンポン・スッパニミットラクーン氏(党書記官)、パディパット・サンティパーダー氏(北部執行委員)、ソムチャイ・ファンチョンラチット氏(南部執行役員)、アマラット・チョークパミットクン氏(中部執行役員)、アピチャート・シリスントーン氏(北東部執行委員)、ベンチャー・セーンチャン氏(東部執行委員)、ステープ・ウーオン氏(労働党執行部員)、アピシット・プロムリット氏(北部執行委員)。
同党の残りの142人は、60日以内に新党への加入が必要。加入しない場合、議員資格を失うことになる。
前進党は2023年の総選挙で勝利し、第1党となったが、非公選の上院議員が同党の不敬罪法改正案に反対したため、政権を樹立できなかった。第2党のタイ貢献党が中心となり、前進党を排除して連立政権を樹立。前進党は野党に転じて現在に至る。
選挙管理委員会(EC)は3月、前進党が総選挙の公約に打ち出した刑法第112条の改正が、国家転覆の疑いがあるとして、前進党の解党を求める請願書を憲法裁に提出。前進党は審理の継続を希望していたが、憲法裁は7月17日、判決を下すのに十分な証拠がそろったとして、審理の終了を決定した。