上川陽子外務大臣は12日、タイの首都バンコクで、パーンプリー副首相兼外相と会談し、両国の経済関係を更に強化することで一致した。両外相は、12月に東京で開催されるASEAN特別首脳会議に向けて緊密に連携し、日ASEAN協力を深化させることを確認した。
会談は約65分間行われた。上川外相は冒頭、イスラエルで死傷したタイ国民へ哀悼の意を表し、日本は長年の友人としてタイと共にあると述べた。一般市民に対する攻撃や誘拐は正当化できないとして、ハマスなどのパレスチナ武装勢力によるテロ攻撃を非難。事態の早期沈静化に向け、タイとも連携したいと述べた。
両外相は、経済関係の更なる強化で一致。パーンプリー副首相兼外相は、デジタルやイノベーションなど、新政権が重視する分野において、日本と幅広く協力したいと述べた。日本からの投資環境の整備を進めるほか、安全保障分野でも協力したいとした。
上川大臣は、昨年策定した「日タイ戦略的経済連携5か年計画」に基づき、投資環境の更なる改善を含め、タイとの協力を推進したいと述べた。安全保障、文化・人的交流を含む幅広い協力についても言及した。
また両外相は、現地時間12日夜に開かれた夕食会で、両国の文化や社会について懇談。上川外相がタイに関する書籍を購入したことを紹介するなど、和やかな雰囲気だったという。
上川外相は夕食会で、ALPS処理水の海洋放出に関し、科学的根拠に基づいて説明していくと述べ、パーンプリー副首相兼外相は、「心配には及ばない。日本の立場を一貫して支持している」と応じた。