日本政府はこのほど、東北部コーンケーン県ムアンコーンケーン郡で視覚障害者のためのメディア制作・教育技術センターを建設し、引き渡し式を行った。式典にはコンケン副県知事のパンテープ・サオコーソン氏、キリスト教視覚障害者財団のポンサック・カセームスワン理事長、在タイ日本国大使館大場雄一次席公使ら関係者が出席した。
建設計画は草の根・人間の安全保障無償資金協力によるもので、約352.9万バーツ(約12.279.180円)を供与。タイ最大の視覚障害者支援団体である同財団の要請を受け、2021年11月30日に計画の贈与契約署名を行っていた。
同財団では視覚障害の当事者たちが中心となり、教科書の点字翻訳や触って物を認識するための教材の制作、点字一般書籍や音声データの制作、オンラインで本やニュースが読める教材を制作している。しかし教材制作や機材のメンテナンスのための専用施設を持っておらず、別の目的で使用している建物2棟の手狭な部屋を応急的に使用。教材が山積みなりスペースが不足している上、2棟の建物を行き来しながらの作業を余儀なくされ、視覚に障害がある職員は怪我をする危険性があるという。
2019年のタイ政府の発表によると、タイ国内の視覚障害者は約19万人。重度の視覚障害をもつ場合、日常生活を送る上で点字や音声データなどの専用のメディアが欠かせないが、教材や支援が遅れているという。
日本大使館は「今年は日タイ修好135周年。草の根レベルの支援を通じて両国の関係がより強固になることを期待する」としている。