国会警察本部のターニー国家警察副本部長は27日、タクシン政権時代に発生したイスラム教弁護士協会会長(当時)のソムチャーイ・ニーラパイヂット氏が失踪した事件の捜査の進展を困難にする障害が、これまでの政権時代にあった事を認めた。
これは、同日事件の進捗状況を報告する為にステープ副首相に面会した後に記者団に語られたもので、ターニー副本部長は、現政権になってから捜査を進めやすくなったことを認めたが、これまでの政権下であったとされる障害の詳細に関しては明らかにしなかった。
また、ターニー副本部長は、より効率的な捜査を期する為に新たに2人の警察官の捜査チームへの配属替えを首相に要求する方針である事を明らかにしたが、捜査の進捗状況に関しては明らかにせず、また、捜査の終了時期に関しては、事件の複雑性から同副本部長の退官までに終わらせる事が出来るかは明言できないとした。
この事件は、ジェマー・イスラミア(JI)がタイ南部で行ったとされる謀議に協力した容疑で逮捕された3人のイスラム教徒の弁護活動に当たっていたソムチャーイ氏が、警察による拷問まがいの事情聴取が行われている実態を告発し、是正を要求する活動を展開していた最中に何者かに拉致され消息不明になったというもので、拉致当時の目撃証言等から警察中佐(釈放後に警察大佐に昇格)クラスの警察官等が逮捕されたが、その後処分保留のまま釈放されていた。
当時のタイ弁護士会は、拉致に直接関与した警察官の通話記録から首相官邸内にいる大物が事件に関与していた疑いが濃厚になっているが、この大物の影響力が政界内に及んでいる限り事件の解決は不可能であるとの見解を示していた。
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