民主党所属パタルン県選出下院議員のニピット・イントラソムバット氏は19日朝、特定財閥を優遇した閣僚人事に抗議し今後アピシット首相の擁護を止め政府の監視に徹する考えである事を明らかにした。民主党を離党する可能性に関しては否定した。
発言の中でニピット氏は、第一次アピシット内閣にヂャルゥンポーカパン(CP)グループ総帥の娘婿としても知られ、またタイ・ラック・タイ党の創立メンバーに名を連ねるなど数々の政権と関わってきたウィーラチャイ・ウィーラメータグン氏を経済関連担当首相府大臣に据えることは、投資家に政治の支配を認める事に繋がる不適切な人事であると指摘した上で、アピシット首相に対して直接人事の見直しを要請したが受け入れられなかった為抗議の為に今後はウィーラチャイ氏の動向を中心に政府の監視に徹すると語った。
ニピット氏によると、チュワン党最高顧問も同様な認識を示しており、今回の人事が党内分裂の火種になる可能性も排除できないという。
嘗てタクシン元首相が率いるタイ・ラック・タイ党の主要な資金提供者であったヂャルゥンポーカパン・グループがクーデター後にタクシン離れを始めていた事は公然の秘密として語られており、また、同グループは、先の総選挙の際に2,300万バーツ(当時のネーションは6,000万バーツと報道)の"合法的な"政治資金を民主党に提供していただけでなく、民主主義市民連合の主要な資金提供者としても取り沙汰された事もあった。
また、タクシン元首相がヂャルゥンポーカパン・グループと直接競合する中東の実業家への接近を図った事が同グループのタクシン離れを加速させたとの説もある。
この人事について民主党のステープ幹事長は、ウィーラチャイ氏は経済に精通しているだけでなく外国とも良好な関係を持っていると語り適材適所の原則に則った人事であることを強調しているが、19日付けのネーション紙は、ステープ氏が、この人事に不満を持つ党内関係者に対して、政権奪取に繋がった民主党への合流工作にウィーラチャイ氏が関与していた事を明らかにしていたと伝えている。
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