タイとカンボジアの国境紛争が続いている問題で、外務省は25日、カンボジアの一部地域の渡航危険レベルを引き上げた。タイ国境から50~80キロメートルの地域に、レベル2「不要不急の渡航はやめてください」を発令した。
同省によると、タイ軍機による空爆が国境から50キロメートルを越える地域でも複数あり、中には国境から80キロメートル近くまで攻撃を受けた例が報告されているため、レベル3の地域から30キロメートル以内の地域を危険レベル2に引き上げた。同省は、不要不急の渡航を取り止め、やむを得ず渡航する場合は、国境情勢についての最新の動向を確認した上で、十分な安全対策を取るよう呼び掛けている。
タイ国境から50キロメートル以内の地域には、レベル3「渡航は止めてください(渡航中止勧告)」を継続中。どのような目的でも、同地域への渡航は止めるよう勧告している。また、戦闘地域や避難指示があった地域からは、安全を確保した上で直ちに避難し、他の地域でも事態が急変する可能性があるため、避難指示がある場合は安全を確保して速やかに避難するよう呼び掛けている。
同省によると、5月28日に国境(プレアビヒア州)で両国軍の軍事衝突が発生。7月28日に即時・無条件の停戦で合意し、10月26日に停戦合意の履行に向けた共同宣言に署名したが、12月7日に再び衝突。情勢が悪化した。
8日にはさらに戦線が拡大し、現在は、バンテアイミエンチェイ州やポーサット州、バッタンバン州、コッコン州の国境全域で激しい戦闘や空爆が断続的に発生している。カンボジア内務省は24日夕までに、民間人30人が死亡(避難所での死者9人を含む)、87人が負傷、約64万人が避難したと公表している。