タイのペートンターン・シナワット首相は8日、米国の関税措置や地震への対処を優先するため、カジノと娯楽施設に関する法案の審議を延期すると発表した。タイ下院が9日に審議する予定だったが、野党や宗教団体、民間団体などを中心に反対意見が強まっていた。
現地メディアの報道によると、ペートンターン首相は、「連立政権の党首らと議論した結果、より喫緊の課題を優先することで合意した。法案の撤回はしないが、引き続きあらゆる意見に耳を傾ける」と述べ、法案は次回会期への提出を検討すると意欲を見せた。
関連法案は先月、観光客の誘致を目的に内閣が草案を承認。娯楽施設内にカジノを設置することや、カジノの敷地面積を施設全体の10%以下に抑えること、入場するタイ国民は5000万バーツ以上の預金証明を提示するなど、厳しい条件を提案している。
タイ内閣は法案を推進したが、野党や宗教団体、民間のギャンブル依存症支援団体を中心に批判が高まっていた。
ペートンターン首相は、娯楽施設が数千人の雇用と新たな観光スポットを創出し、国の成長を牽引すると指摘。カジノばかりに焦点が当たることは本意ではないと語った。