タイ政府は5日午前9時から、国境沿いのミャンマー3郡5カ所への電力・石油・インターネット供給を停止すると決定した。中国人が運営するコールセンター詐欺施設に対し、前例のない対抗措置となる。
プラチャーチャート・トゥラキットなどの報道によると、プームタム・ウェーチャヤチャイ副首相兼国防相は、国境近くの詐欺団によるタイ国内の犯罪被害者は約55万7500人、被害額は1日当たり8000万バーツ、総額860億バーツ以上に上ると訴えた。
プームタム国防相は4日、送電停止などを協議する緊急会議を開催。アヌティン・チャーンウィーラクーン副首相兼内務相やチャチャイ・バンチュアード国家安全保障会議事務局長、タイ地方電力公社(PEA)のプラシット・チャンプラシット副総裁らが出席した。送電を担うPEAは、内閣の承認や国家エネルギー政策委員会への報告無く、送電を停止できる。
送電などを停止するミャンマーの地域は、モン州パヤトンス郡、シャン州タチレク郡のバン・ムアン・デーン橋周辺とタイ・ミャンマー友好橋周辺、カレン州ミャワディ郡の第二タイ・ミャンマー友好橋周辺とバン・フアイ・ムアン橋周辺。
コールセンター詐欺はミャワディのシュエ・コッコーとKK園区の2都市に集中。多国籍の住民10万人が停電の影響を受けるという。
タイ当局はミャンマー当局に対し、5カ所のコールセンターがタイに安全保障上の脅威を与え続けていると通知。ミャンマー政府のコールセンター対策は内政問題だとした。