不倫の恋、人身売買、強制売春、日本人女性専用風俗、恋人の自死――。著者の一木けい氏が実際にタイに駐在した9年間で見聞きしたり経験したりしたことを活かし、「通じ合う」ことをテーマに紡いだ恋愛小説『結論それなの、愛』が、2月19日に発売する。
発行元の新潮社によると、主人公は一見豊かに見えるが、閉塞感が充満した駐在員コミュニティで孤独を抱えて生きる人たち。危険な目に遭いながらも、愛する人と思いを通わせることで自分の人生を取り戻し、前を向く様子が希望とともに描かれているという。
著者の一木氏は、「通じ合うとは何か考えながら、バンコクと東京で書いた小説。改稿していくうちに、自分がどんどんひらいていく感覚があった。諦念と虚無を掘り下げたら、本当はこんなにも通じ合いたかった自分に気が付いた」とコメントしている。
一木氏は福岡県出身。1979年生まれ。2016年にR-18文学賞読者賞を受賞。デビュー作『1ミリの後悔もない、はずがない』が話題となる。著書に『愛を知らない』『全部ゆるせたらいいのに』、『彼女がそれも愛と呼ぶなら』などがある。
[書籍内容紹介]
夫は、私の気持ちに気づかない。駐在妻のマリが求めた無垢な愛は、切実で、時に危険で残酷だった。言語も文化も異なる場所で、それでも通じ合うことを真摯に見つめ続けた最高純度の恋愛小説!
バンコクの高級コンドミニアムで暮らす駐在妻のマリは、コロナ禍の国境封鎖で出張先から帰ってこられなくなった夫と別居生活を送っていた。日本にいた母の葬儀にも参加できず、孤独なマリに声を掛けたのは、テオというタイ人の青年だった。寄り添い、理解しようと向き合ってくれるテオに、やがてマリは心惹かれるようになりー―。