福岡市総合図書館の映像ホール・シネラ(福岡市早良区)で2024年11月7日(木)~17日(日)、アジアの新旧映画19本を上映する「アジアン・フィルム・ジョイント2024 とるにたらない」を開催する。
主催の三声舎によると、観覧料は1300円。10月27日(日)と11月2日(土)にプレイベントを、11月11日(月)と11月12日(火)に関連イベントを開催する。
タイ映画は九州初上陸の『真昼の不思議な物体』を11月7日に上映。また福岡市フィルムアーカイブにタイの女性監督アノーチャ・スウィチャーゴーンポンの短編作品『グレイスランド』(2006年)の収蔵が決定したことを記念し、『グレイスランド』と同監督の代表作『暗くなるまでには』と『ありふれた話』を、11月2日のプレイベントで特集上映する。
[11月7日(木)15:00~、11月17日(日)11:00~]
・『真昼の不思議な物体』 Mysterious Object at Noon
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
(2000/タイ/83分/日本語・英語字幕付き) ※35mmフィルム上映
映画監督がある女性へのインタビュー撮影を終えた後にこう告げる—「何か他の話はありませんか?本当のことでも、作り話でも良いので」。女は戸惑いながらもその場で創作した少年と女性教師の物語を語り出す。その後、撮影隊はタイの国中を旅しながら各地の人々によって〈物語の続き〉が紡がれ・変容していくさまをカメラに収めていく。
[11月2日(土) 11:00~]
・『暗くなるまでには』 By the Time It Gets Dark
監督:アノーチャ・スウィチャーゴーンポン
(2016年/タイ・フランス・カタール・オランダ/105分/日本語字幕付き)
1976年タイのタンマサート大学で、左派学生と市民活動家らの集会に警察が乗り込み、百人以上もの死者を出した「血の水曜日虐殺事件」が起こる。映画は一人の映画監督が、この集会に参加していた元活動家の女性作家へインタビューする場面から始まる。並行して有名俳優や飲食店の女性店員らの人生も語られ、徐々にタイの現在が浮かび上がってくる。
[11月2日(土) 14:00~]
・『ありふれた話』 Mundane History
監督:アノーチャ・スウィチャーゴーンポン
(2009年/タイ/82分/日本語字幕付き)※35mmフィルム上映
事故によって下半身付随となった青年エークの介護のために、看護師のパンが雇われる。権威主義的な家長である父親と微妙な関係にあり常に不機嫌なエークだったが、献身的に介護を続けるパンへ徐々に心を開いてゆく。象徴的な家を舞台にした〈ありふれた日常〉の物語は現代タイ社会の寓話であり、やがて宇宙と生命の神秘的イメージへと接続していく。
・『グレイスランド』 Graceland
監督:アノーチャ・スウィチャーゴーンポン
(2006年/タイ/17分/日本語字幕付き) ※35mmフィルム上映
エルヴィス・プレスリーの扮装をした若い男と、いわくありげな年上女性。バンコクの夜の街で出会った二人は、互いの名前も行く先も分からぬまま都会から遠く離れた郊外へと向かう。カンヌ国際映画祭にタイの短編映画として初めて公式出品され、監督のその後の活動を推し進めた記念碑的な一作。このたび、福岡市フィルムアーカイヴに収蔵された。