日本政府は17日、タイ中部ペッチャブリー県パーデン区行政機構に総額591万5000バーツを支援し、消防散水機能付き多目的給水車を整備した。1カ月あたり最大約110万リットル、約570世帯分の給水が可能となり、同区の生活インフラの改善と、火災時の効率的な消火活動に役立つという。
支援は、草の根・人間の安全保障無償資金協力によるもの。17日に同区行政機構で引渡式典があり、副県知事のワンペン・マンスリー氏やアッタポン・ジェーンルアン同区行政機構長、住民組織「ルアムジャイ・タームローイポー・ネットワーク・コミュニティエンタープライズ」のゴーソン・セーントーン代表、在タイ日本国大使館の番塲志保一等書記官ら関係者が出席した。
パーデン区はタイ西部のミャンマー国境に位置し、区の面積の約7割はケーンクラチャーン国立公園森林保護区に区分され、水道や電気が整備されていない。
特にカレン族などの少数民族が在住する集落は、水道設備が不足。住民は雨水や河川の水を貯めて利用している。パーデン区行政機構はタンク容量6千リットルの給水車1台で生活用水や飲料水を運搬しているが、必要水量を満たしておらず、老朽化による車両故障も頻発しているという。
また、同区行政機構は専用の消防車を所有しておらず、散水機能が無い給水車を消防車として兼用。山火事や民家火災の消火活動に支障をきたしている。