日本政府は16日、タイ中部ペッチャブリー県ケーンクラチャーン郡パーデン区に多目的給水車を整備するため総額591万5000バーツの供与を決定したと発表した。住民の生活用水・飲用水や、防水用水が確保できる体制の構築を支援する。
支援は草の根・人間の安全保障無償資金協力によるもの。15日に在タイ日本国大使館で、支援を要請していた現地の住民団体「ルアムジャイ・タームローイポー・ネットワーク・コミュニティエンタープライズ」のゴーソン・セーントーン代表と、梨田和也大使との間で署名式が行われた。
同地区の面積の約7割はタイ最大のケーンクラチャーン国立公園森林保護区に区分され、水道や電気が整備されていない。住民は雨水や河川から生活用水を確保している状況だが、3月から5月の暑季にはそれも困難になるという。
パーデン区行政機構は住民に対し、給水車1台(6000リットル積載可能)で水を運搬しているが、必要水量を満たしておらず、車両の老朽化で故障が頻発することから、十分な給水サービスができていない状況だという。加えて同区行政機構は専用の消防車を所有しておらず、散水機能を持たない給水車を消防車として兼用しているため、山火事や民家火災の消火活動に支障をきたしているという。