中国の電気自動車(EV)メーカーのネタ・オート・タイランドは、在庫処分のため、EV車「NETA V-II(EV)」の販売価格を29万9000バーツまで値下げすると発表した。同社は、中国親会社のホゾン・ニュー・エナジー・オートモービル社の経営難の影響で、国内ディーラーの閉店や従業員の退職が相次ぐなど苦境に直面している。
マティチョンなどの報道によると、タイでネタブランドのEVを販売するディーラーが4日に値下げを発表。一方で、保証を全て削除する現象が起きていた。削除されたのは1年間の自動車保険や、バッテリーの8年又は18万キロメートル保証など。
大手自動車ディーラーによると、タイ国内でのネタの現状は不透明で、多くのディーラーは在庫処分に努めている。在庫処分が終了したディーラーの中には、廃業を決めたところもあるという。
ネタの大手販売代理店は、バンコク都と他県10カ所に開設していたショールームとサービスセンター会社のうち8件を営業停止。現在は、バンコク1件、地方2件のみ営業している。同代理店は、タイでのネタブランドの事業を信頼できず、継続不可能と判断した。
ネタ・オート・タイランドの情報筋によると、販売代理店からの信頼喪失が響き、ディーラーの契約解除が増加。ディーラー件数は3月の66件から、5月末時点で53件まで減少した。また本社と工場の従業員約50人のうち、約10人が退職したという。
自動車業界の情報筋によると、中国の経営陣が複数のタイ投資家に接触。ネタ・オート・タイランドを12億~20億バーツで売却しようと試みたが、ネタの現状が継続困難と判断され、取引が成立しなかったという。
一方、中国のネタ・オートは、親会社の財政難に直面し、約4000億バーツの損失を計上。マレーシアやシンガポールでの営業を停止するなど、経営難に陥っているという。
陸地輸送局の新車登録データによると、1~4月のEV新車登録台数は前年同期比22.4%増の3万1009台。ネタは同37.3%減の1067台だった。