タイで生産している日本品種いちご「SAKURA ICHIGO」が、2回目の収穫シーズンを迎えている。生産・販売を手がける日本農業 (本社:東京都品川区)は16日、昨年の好調な売れ行きを受け、販売店舗をタイ国内の高級スーパーマーケット「Gourmet Market」や「Foodland」、日系スーパー「マックスバリュー」、主要スーパーの「Tesco Lotus」、ECサイトなどへ拡大する予定だと発表した。
また同いちご品種の生産面積拡張を計画していると明らかにした。生育環境の違うタイで安定的かつ大規模に生産するため、2020年から北部チェンマイ県で、ハウス栽培実証実験を日本貿易振興機構(JETRO)の支援を受け開始。熱帯気候でのいちご栽培を可能とする環境制御システムやスポットクーリング技術の実証を経て、2022年に実験を終了し、大規模生産に向けた調整段階に入った。
日本農業は、九州地方の品種開発者とパテント使用・費用についての独占契約を結び、日本品種のいちご「SAKURA ICHIGO」(日本農業登録商標) のタイ生産・販売を行っている。タイ現地で生産することで、生産・流通コストを削減。日本から輸入されるいちごに比べ安価で、日本品種いちごの特徴である「タイ産に比べて香りが豊か」や「ジューシーで甘い」といった点が評価され、店頭での売れ行きが好調だったという。
日本農業は同いちご品種のタイ生産事業について、日本品種の海外への流出・無断栽培による品種ロイヤルティ(権利使用料)獲得の損失や、日本からの農産物輸出の機会損失を防ぎ、日本の優良品種と技術を海外で正当に活用・収益化するビジネスモデルの確立を目的に発足したとしている。