医療機器スタートアップのビードットメディカル(本社:東京都江戸川区)は7日、同社が開発する超小型陽子線がん治療装置の導入に向け、タイの国立タマサート大学と基本合意書を締結した。2024年に新病棟が開設するのに合わせ、装置を導入する。
医療機器卸し大手のオルバヘルスケア(本社:岡山県岡山市)と販売提携し、タイを中心としたASEAN地域で医療機器事業を展開する予定。タイで装置を販売するために必要な治験も、同大学で実施する。
東南アジアでは、人口やGDPの拡大に加えて国民所得も上昇しており、先進的な医療を取り入れる機運が高まっている。特にタイは2000年以降、経済成長によるがん罹患者数が急増しており、最先端がん治療へのニーズが高まっているという。
一方、人口密度が非常に高いバンコクでは大型の陽子線治療装置の設置が困難で、タイ国内の陽子線治療施設は1カ所のみ。ビードットメディカルが開発した装置は、都市部にも設置できる世界最小クラスであることから、導入につながった。
陽子線治療は、体内深部にある腫瘍をピンポイントで照射する最先端治療。正常な組織や臓器へのダメージが少なく、副作用を低く抑えることができる。日常生活を大きく変えることなく、働きながらの治療が可能になるなど、患者の生活の質の向上が見込まれている。