タイ矯正局は、バンコク刑務所で一部の中国人受刑者に禁止品や贅沢品の提供を許可したとして、刑務所長と職員数人を解任した。一部の中国人受刑者が、他の受刑者に不当な影響力を行使しているとの苦情を受けて実施した調査で発覚した。
タイラットなどの報道によると、同局は16日、バンコク刑務所を抜き打ち検査。刑務所の第3エリアで、2017年矯正法第72条・73条に違反する電子レンジや冷蔵庫、エアコンなどの電化製品や、ブランド品、刃物、ライターなどを発見した。
法務省筋によると、苦情はタイ人受刑者から寄せられた。一部の中国人受刑者が、通常の規定を大幅に超える特権を享受していると主張。中国から来た「美しい女性」が頻繁に訪問し、一般受刑者には許可されていない家電製品を利用していたという。
当局は、特権を受けていたとされる中国人受刑者を、より適切と判断した施設に移送。捜査の迅速化のため、事実調査委員会を設置した。
矯正局は当初、査察チームを派遣したが証拠品を発見できず、抜き打ち検査で違反が明らかになった。当局は、捜査前に情報漏洩があった可能性があるとして捜査している。
バンコク刑務所に収監されていた政治活動家のエカチャイ・ホンカンワン氏は、2022年~2023年の体験談をフェイスブックに投稿。中国系犯罪組織の拠点があるミャンマーのシュエ・コッコのボスであるセー・チンチアンら、詐欺集団の中国人受刑者が数人収監されていたが、結束が強く、セー・チンアンは刑務所のボスのように振る舞っていたという。
中国人受刑者らは職員に裏金を支払う代わりに、刑務所内での仕事や活動を免除され、サーモンなどの特別食や高価な葉巻、ステレオで流す中国音楽を楽しみ、快適な生活をしていたという。
また、中国人受刑者の使用人としてタイ人受刑者を雇用。他のタイ人受刑者と揉め事があった場合は、タイ人受刑者のみ処罰を受けたと証言した。