大河メコンの源流から河口まで4000km余りを20世紀末に旅した貴重なフォトルポルタージュ『メコン・ザ・ラストリバー 無垢なる大河 旅の記憶』(定価2970円)が3月6日に発売された。
航空・鉄道メディアのイカロス出版(東京都千代田区)によると、本書では写真家・青柳健二氏 が1995年に上梓した代表的写真集『メコン河: アジアの流れをゆく』 と、1996年出版の紀行集『メコンを流れる』 の素材をリミックス。写真や文章を追加・再構成し、新たな作品として生まれ変わった。
青柳氏が訪れた当時、世界的な大河でありながら、源流域が不明瞭だった最後の大河、メコン。そのメコン川流域の姿を記録した充実のノンフィクションだという。
取材当時、メコン川流域の人々の暮らしは急激な開発により変化しつつあった。急速な現代化の波の中、未知なるメコンの源流から河口までを旅し、人々と交流してその暮らしを最後の姿として活写した著者の記録は、貴重な歴史の証言となっている。
本書では、メコン川の長大な流れを「源流」「中流」「下流」の3つのセクション に分け、それぞれの流域で異なる人々の暮らしや風景を、多数の写真と軽妙な紀行文で交互に展開。当時のメコン流域の多様な姿が、より明確に伝わる構成となっている。
さらに、2010年代にメコン川流域を再訪した際の書き下ろし文も追加。当時との変化を振り返りながら、現在のメコンの姿を描き出している。