国連食糧農業機関(FAO)は2日、2023年の世界貿易におけるドリアン市場に関する報告書(Durian Global Trade Overview 2023)を公開した。過去20年で、世界のドリアン貿易は10倍に成長。2020~2022年はタイが市場の94%を占めたという。プラチャーチャート・トゥラキットが報じた。
報告書によると、2003~2022年の20年間で、世界のドリアン取引量は8万トンから87万トンまで約10倍に増加。2021年は過去最高の93万トンに達した。
取引量急増の要因は、輸入国の所得増加と、消費者の嗜好の急速な変化を挙げ、特に重要な市場は中国だとした。低温状態を保って輸送するコールドチェーン技術の発展や、配送時間の短縮が、取引の拡大を促進しているという。
2020~2022年に最もドリアンを輸出している国はタイで、世界の総輸出量の94%を占めた。ベトナムとマレーシアはそれぞれ約3%で、3カ国の収穫量は年間約300万トンだった。フィリピンやインドネシアもドリアン生産国だが、主に国内消費用で輸出量は少なかった。
世界で最もドリアンを輸入している国は中国で、2020~2022年の年間輸入量は平均74万トン。世界の総輸入量の95%を占めた。タイ産がほとんどで、中国とラオスを結ぶ高速鉄道の開通により、輸送時間が大幅に短縮したことも後押しとなった。近年はベトナム産の輸入量も増加傾向。輸入条件が厳しいため、現時点で許可されているのはタイ産、ベトナム産、フィリピン産、マレーシア産のみだという。
過去10年間、ドリアンの平均輸入単価は上昇を続けている。統計によると、2021~2022年のドリアン価格は1トン当たり約5000ドルで、他の熱帯果物に比べ数倍高くなっている。世界中のドリアン貿易価格は2020~2022年の取引額は約30億ドルで、マンゴーやパイナップルを上回った。